日本画用の絵具には、主に天然の鉱物を砕いてつくった天然岩絵具と、人工的につくった原石の塊を砕いて製造する新岩絵具と、新たに開発した京上岩絵具があります。 岩絵具は砕いた原石の粒子を粗いものから細かいものに分けることにより、同じ色でも様々な濃度が表現できます。そのため、当社で取り扱う色数は約1,400色にものぼります。
日本画の“白”をつくる胡粉も、絵具としてはもちろん、下塗り用としても使われ、日本画を描く上でとても重要な絵具です。 水干絵具、天然土絵具は、粒子が細かく、なめらかに均一に塗れ、色が定着しやすい特長があるため、岩絵具を塗る前の下塗りにも利用されます。
天然に産する良質の鉱物・貴石を厳選し、自然の持つ美しさをそのままに引き出すべく粉砕・水簸(すいひ)精製して、粒子分けしたものが天然岩絵具です。さらに天然岩絵具の色相を補充するためにつくったのが新岩絵具です。秞の体質に金属酸化物を混合し、800℃~1000℃にて焼成・溶融して色の塊の原石である新岩をつくります。そののち、天然岩絵具と同じ製法にて仕上げます。
京上岩絵具は、製法は新岩絵具と同様ですが、秞の体質に鉛を含まないため、環境汚染を防止するとともに、良好な加飾特性を有し、対環境汚染ガス耐久性に優れた絵具です。
「水」で精製し、「干」し上げてつくることから、水干絵具と呼んでいます。耐光性の強い堅牢な顔料を選択し、体質顔料に胡粉を用い、水干精製後、杉板上で薄板状に自然乾燥させます。水干絵具の粒子は非常にきめ細かく、優れた発色が特長です。
水飛胡粉は、日本の伝統の白です。天然に産するイタボ牡蠣の貝殻を屋外に10~15年以上放置し風化させます。その後石臼粉砕にて微細化し、同時に水で十分晒します。そして、水簸(すいひ)精製後、杉板上で薄板状に自然乾燥させます。これを板流胡粉といいます。粉末状にしたものもあります。
天然土絵具は、洋の東西を問わず古来、顔料として用いられてきたものです。日本および世界各地で産する上質な天然の土を水干精製後、杉板上で薄板状に自然乾燥させます。その粒子は非常にきめ細かく、落ち着いた深みのある自然な発色が特長です。